2016年09月14日

長嶋有「三号室の隣は五号室」

ひさかたぶりの長嶋有。
じつは私、長嶋作品はほとんどすべて読んでいるものの、彼をしっかり理解把握できていないような気がしている。
なんということのない時間が流れ、意味のない会話が交わされ、時として退屈。
「なぜこれを書いたのか?」の疑問を抱きつつ読み進むうちに「まぁ、人生ってこういうもんだよね」と私なりに納得してしまう。
そしてそれは悪い感じではないので、ついつい次の作品も読むことになるのだ。
今回のこの「三号室の隣は五号室」はちょっと面白い設定となっている。

第一藤岡荘の五号室に1966年から2014年までの間に住んだ歴代住人の物語。
13組が入居してきた。
一平、二瓶、三輪、四元、五十嵐・・歴代住人たちの順番はその名前でわかるようになっている。
11番目は霜月さん、12番目はイラン人のダウアーズダさん(イラン語で12の意味)というのが洒落ている。
2組を除いて彼らのほとんどが学生や単身赴任や勤めの女性などの独り暮らし。
同じ部屋に住んだといってもお互いに交流があるわけではない。

この五号室、変わった間取りなのが特徴で、ほとんどの住人が「なんか、変」と感じながら暮らしている。(そうは思っていない人もいるけれど)。
間取りが言葉で説明してあるのだが、よくわからない。不動産屋の契約以外の部屋があったりもする。
でも心配は不要。ちゃんと間取り図が載っているので住人たちの暮らしが想像できる。
おかしな間取りの部屋にしては彼らの暮らしは平凡で概ね平穏。
(引っ越しして去った後で殺される者がいて、びっくり)。

住んだ13人、それぞれの時代の出来事が書かれていて、「あぁ、この人が五号室に住んだいたのはあの頃なのか」とわかるので、彼らに親しみがわく。
この物語の主人公はやはりこの五号室という部屋なんだろう。
同じ舞台でも人それぞれ、生き方の違う人生。でも所詮は人間の人生。違うようで同じ、同じようで違う。
その事実がこの五号室の個性に集約されているような気がする。

長嶋有の小説にはキーワードがあって、軽井沢、父親などがそうなのだが、麻雀もそう。
これにも麻雀が登場する。
長嶋さん、麻雀好きなのかな?
posted by 北杜の星 at 07:38| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ナ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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