2016年09月30日

山根明弘「猫はすごい」

裏の山荘のYさんが「あなた、猫好でしょ。これは知人が書いた本なんだけど、よかったら読んで」と、朝日新書のこれを持って来て下さった。
数年前まで犬を飼っていたYさんだが「猫歴のほうが本当は長いの」とのことだ。
早速読んでみた。

空前の猫ブームだそうだ。もうすぐ猫の数が犬のそれを上回るらしい。
招き猫など独特の猫文化をもつ日本は世界でもかなりユニークな猫好きの国のようだ。そしてこの文化は今に始まったことではなく江戸の時代から続くものだと言う。
動物行動学が専門の動物学者である著者は、九州の相島という小さな島で数年間ノラ猫の行動を観察した経験を持っていて、そのときに猫の能力の高さを知り、猫の魅力にぞっこんとなったようだ。
幼いころに飼っていた小鳥を猫に食べられた過去から、猫は嫌いな動物だったにもかかわらず。

彼の観察した相島のノラ猫とペットである飼い猫の間には相似点も相違点もある。それは当然だ。
しかし飼い猫であっても猫の身体能力は見事に発揮されている。犬とは違い、野生が残っているのだと思う。
嗅覚は犬にはかなわないものの人間の10万倍だというし、視覚はご存じのように真っ暗闇でもちゃんと見える。なによりスゴイのが動体視力。そして動体視力に合わせて動ける跳躍力は1.5、メートルだし走るスピードは時速50qにもなるから、ほとんど野生そのものといっていいくらい。
そんな能力の高い猫と一緒に家で暮らしているなんて、ちょっとびっくり。
家でゴロゴロ眠っては食べている飼い猫からは想像できないかもしれないけれど、そんな飼い猫がときたま見せる昆虫や鳥などの小動物を捕獲する動きの俊敏さに驚いたことのある飼い主は多いはずだ。

能ある鷹は爪を隠すというけど、その爪もスゴイんです。木登りができるし、獲物をしっかり押さえて放さない。
猫が噛めば犬より深い傷を負うらしいが、その牙はおそろしいほど。
それと、これは長年猫を飼っていてづくづく感じて来たのだが、猫はじつに辛抱強い。じっと待てるし、要求は必ず貫徹させる。
この辛抱強さは、痛みや苦しみにも発揮されているようで、どんなに体がきつくてもへこたれない。これもじっと我慢している。
弱みを最期まで人に見せない猫の態度に、これまで幾度も教えられたような気がする。
今は20歳で年老いた我が家のハッチ君にだって、いろいろ学ぶ毎日だ。

相島では著者が研究観察していた20年前には島民500名、ノラ猫およそ200匹だった。今ではどちらの数も減っている。
島では島民と猫が共存していたそうだ。猫を飼い猫化するのではなく、ノラはノラのままの猫の暮らしをしていたという。
その共存の仕方を町や都会にも応用できないものか。殺処分は減っているとはいえたくさんの猫が毎年殺されている現実を考えるとき、著者の相島での体験が行かされれば良いと思う。
不幸な殺処分を少なくするための去勢手術も最近では改善されているようで、オスは睾丸を取るのではなくていわゆるパイプカット手術を施す方向になっているし、メスは卵巣を摘出するのではなく子宮を摘出する手術が施されるようになっているのだそうだ。
そうするとオスはオスのまま、メスはメスのままの従来の性衝動や性行為を持ちながら、子どもは生まれない。
ノラ猫はその性格や行動を変えることなく生きていけることになる。
(もっともこうした手術そのものが不必要になればいいのだけれど、それは今のところ理想論だ)。

≪朗報≫
いつも私は高齢になってからこそ、日々の慰めと尾生きがいのために犬や猫と一緒の生活をしたいものだと思っているのだけれどl、人間の方が先に死んだ場合を考えると飼うのを諦めざるをえないと思っている。
でも著者はこの本で、『ペット信託』というシステムを紹介してくれている。
これは飼い主が病気になったり亡くなったときのことを考えて、猫の養育費を第三者に委託して資金管理するもので、福岡の行政書士の服部薫さんが始めたものだ。
こういう組織や団体が日本各所にあればいいですよね。
最近のイタリア中部の地震において、動物保護団体が飼い主の家族から依頼を受けてがれきを探したところ、15日ぶりで脱水症状の猫を救出したとニュースで知ったけど、そうしてシステムがあるのは羨ましいことだ。

ノラ猫に優しい社会は人間にも優しく快適な社会だと私は信じている。
まず猫がどんな動物なのか?ということをこの本で知って飼い始めても、飼い始めてこれを読んでも、どっちにしても面白くて勉強になること間違いなし。
猫って強く、美しく、そしてメッチャかわいい生きものです!
posted by 北杜の星 at 07:38| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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