2016年10月19日

山口創「人は皮膚から癒される」

ここ1年半ほど、皮膚の調子がよくない。
もともと幼いころから夏には太陽湿疹、冬には寒冷ジンマシンが出て、だから暑いのも寒いのもダメ。
食べものアレルギーにもすぐ反応したけれど、これはだんだんおさまって、大好きな筍を食べても以前のようなぶつぶつは顔に出なくなったのはうれしい。
昨年は自家感作性皮膚炎、今年はジンマシン・・今も下着の縫い目が当たるところには湿疹が出たり引っ込んだりしている。乾燥もひどい。まぁ痒くないからどうってことないけど。
精神的なストレスも皮膚に表れているようだ。

「人は皮膚から癒される」。
人が人を癒す手段はいろいろある。言葉によっても大いに慰められるし、笑顔一つで心が軽くなることもある。心が細っているときに誰かが温かいスープを作ってくれたらどんなに感謝することか・・どんなことでも人は癒し癒される。
なので癒すのが皮膚であっても、それはあり得るだろうと思ったのだが、この本を読むと、皮膚は私が思った以上の癒しのパワーを持っているようだ。

病院患者が痛みに耐えている時、心が弱っている時、看護師さんがそっと触れるだけで痛みが薄らぎ心が晴れることがあるけれど、それはちゃんと化学的な証明が可能なのだ。
愛情をもって皮膚に触れると、脳からオキシトシンというホルモンが分泌されて、リラックスしたり癒されたりするのだという。
必ずしも触らなくても、傍に寄るだけでもその脳内物質はでるらしい。
皮膚と脳というか人間の感情はそのように繋がっている。

日本人はともすれば体を使ったコミュニケーションが下手だ。
西洋人は会うと握手をしたり、抱き合ったり、頬と頬をくっつけて、肌と肌を触れ合わす機会が多い。
たぶん、そうすることでお互いの距離を縮めているのだろう。
日本人の習慣にないことだが皮膚と皮膚を触れ合う行為には、人を親密にさせるところがある。
日本に対人関係で悩む人が多いのは、こういうところからきているのか?

皮膚は肌とも言うが、肌という言葉には皮膚にはないニュアンスがある。
肌が合う、合わない。ひと肌脱ぐ、職人肌、肌で感じる・・
そこには肌の精神性が読み取れる。
じっさいに、幼少時の肌のコミュニケーションが少なかったひとは、自尊感情が低いと書いてあるし、摂食障害に苦しむ人もそのようだ。
触覚は感情と直結しているということ。大切なのは「皮膚を拓く」ことだそうだ。

この本、最初は人間科学のお話しかと読んでいたらだんだんと皮膚を離れて、哲学的になってきた。
つまりは「幸福とは何か」を追求する本のようだ。
でもそれが決して押しつけがましくなくて、素直に心に響く。
著者の善き心が伝わって来て、それに癒された感じだ。

一灯の歓び・・思いがけずいい本でした。
posted by 北杜の星 at 07:32| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。