2017年01月11日

深作秀春「やってはいけない目の治療」

私たち日本人は、日本の医療は世界で先端的だと思っている。
しかしどうもそうではないようで、最近各分野の医師たちが「日本の医療は遅れている」「日本の医学的常識は世界に通用しない」とか言うようになっている。
事実、アメリカなどで研究して帰国した医師が、元属した大学病院に戻らず、地方で開業することが増えている。自由に自分の診療をしたいからだ。
なぜ、いつから、日本の医療がこうなったのか?
厚生労働省の問題もあるだろう。薬品メーカーとの癒着もあるだろう。
でもなんとか、世界標準治療の域にはなってもらいたいものだと私は望んでいる。

この本の著者はアメリカで研鑚を積み、米国白内障屈折矯正手術学会の常任理事をつとめる眼科医。
現在の日本での眼科の常識をバッサリ斬っている。
コンタクト・レンズ、レーシック手術を安易に考えないこと。
網膜剥離や白内障や緑内障は最先端の治療で治癒可能なこと。
目の筋肉を鍛えるための体操は、百害あって一利なし。
目はこすったり押さえたりしてはいけない。
水を多量に飲むことを薦められるが、眼圧が上がるので、やめたほうがいい。
・・

上記についての詳しい説明はこの本を読むとわかるが、もっとも興味深かったのが「白内障手術」に関してのものだった。
白内障はいわば老化現象なので、歳をとれば誰もがかかる病気である。
さいわい、私も夫も11月の眼科検診で、白内障はまだないと言われホッとしている。
夫は加齢黄班変性症の初期症状があったので、それ以来定期的に検査をしているのだが、不思議なことに改善していてほとんど画像に所見が見られなくなってえいる。
私の場合は網膜色素変性症というジストロフィーなので、これは仕方ない。(網膜色素変性症が治るとはさすがにこの著者だって言ってない)。

この白内障、医師によって手術が早期の方がいいと言う先生と、まだまだ大丈夫だから手術はもっと後でと言う先生と両方いる。
早めの手術を薦めるのはできるだけ若いうちの方が回復力があるためかと思っていたら、そうではないらしい。
この著者が言うには、白内障手術はなるべく早くする方がいいとのこと。
その理由としては、白内障が緑内障を誘発するからなのだそうだ。
緑内障も最近とても多い。私の友人で、眼圧を下げるための「キサラタン」を寝る前にさしている人がずいぶんいるが、これも加齢現象のようだ。
緑内障にかかると、視野視力ともに失われ失明原因となるので、それを避けるために白内障手術は早く受けるべきであって、それが世界の主流となっていると言う。

そうなのか!
ならなぜ、日本では白内障手術の第一人者の医師が「手術はまだ必要ありません」なんて患者に言うのか?
日本では専門が細かに分かれていて、白内障は白内障、緑内障は緑内障と特化しているので、病気の繋がりがわからないのか?
私の周りでは、10年くらい前まで、日帰りの白内障手術を受ける人が多かったが、このごろでは二泊三日の入院をして受ける人が増えている。
あれはやはり、そのほうが体への負担が少ないのだろうか?
元々私は、出産後や術後すぐの退院には反対だったので、好ましい傾向だと思っているのだが。

大学病院が新しい治療をしていると思いこむのは危険だ。
新しければ良いというものではないだうが、正しい治療の選択肢は多い方がよい。
医師はその勉強をするべきだし、患者も自分の体だだもの、もっと自分で知識を持つべきだ。

この本のなかでips細胞の網色素上皮細胞移植のことが最後に書かれている。
この理化学研究所の手術は私にっては僥倖ではあるのだが、著者の言うように疑問も持っている。
移植手術自体はips細胞ではないものの、自分の網膜の損なわれていない部分を、悪い個所に移植するという手術は、これまでも行われている。
しかしそれが良い結果を生んではいないのだ。
(このことは私の主治医が話してくれたことがある)。
じっさいにips細胞の網膜上皮移植手術を受けた患者さんがどうなっているか?
残念だが視力が出ているわけではないようだ。ただほんのぼんやりとモノの影らしい輪郭がわかるようになったらしい。
もっとも、まったく見えなかった人からすると、ぼんやりと何かがあるのがわかるだけでもスゴイことなのかも知れないけれど、でもまだまだ課題が多い治療のようである。
posted by 北杜の星 at 08:03| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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