2011年06月26日

辻村深月「ツナグ」

辻村深月は人気作家だが、私が読むのはこれが初めて。
題材が面白そうだったのでライブラリーに予約をしたのだが、こんな田舎町で3ヶ月以上のウェイティんグだった。
桐野夏生作品はいつもこれくらいらしいが、他にはあまりないこと。
辻村深月って、そういう人なんだと納得。

「ツナグ」。死者と生者をツナグ使者のこと。
死者も生者も、一度だけ会いたい人に会える。
あるところに電話をすると、「ツナグ」が死者に連絡をとってくれ、面会の設定をしてくれるのだ。
死者は断ることもできるらしい。
突然死をしたタレントに会いたいファンの女性。
癌で死んだ母に会いたい頑固者の中年男。
自分のせいで死んだのではないかと、喧嘩したまま別れた親友ともう一度話したい女子高校生。
7年間行方不明の恋人を探す婚約者。

死者と生者を「ツナグ」のは、意外にも高校生の男の子だ。
コム・デ・ギャルソンのジュンヤワタナベのコートを着た素敵な男の子。彼がなぜ「ツナグ」になったのか。
その説明が最終章の「使者の心得」に書かれている。
「ツナグ」にも会いたい死者はいるのだろうか。

これを読みながら、私なら誰に会わせて欲しいかと考えてみた。
父や母はもういない。祖父母もとっくに逝ってしまった。
だけどそういう人たちには、私があちらに行ったときに会えそうだから、今会わなくてもいいような気がする。
うーん、えーっと、ともう一度考えて、そうだ、MICIOに会いたいと思った。
MICIO(ミーチョ)はハッチ君の前の我が家の飼い猫。
ある日杉並の家のベランダのコンクリートの床に、子猫6匹を産み付けて、そのままにしておけなくて台所に入れてやったら、そのまま居ついてしまった猫なのだ。
体の弱い弱い猫で、いつも病気をしていた。大怪我もよくした。
獣医さんに連れて行くと、神経質なため先生が気を使っていつも自宅の居間に上げてくださっていた。
自分が弱いせいか、病気になった私の横にいつまでもじっと座って見守ってくれていた優しい猫だった。
我が家の猫になって7年。ある日彼女の左目になにか変なものが出来ていた。癌だという。このままだと脳に転移するというので、左目の摘出手術を受けた。
以来、ただでさえ弱かったのが、めっきり弱ってしまった。
そして1年後、私に抱かれながら片目から大粒の涙を二粒流し、死んだ。

いまだに後悔している。
あんなに弱くて、車酔いをするMICIOを、毎週東京から蓼科に連れて行っていたのがストレスではなかったのか。
あの手術が本当に必要だったのか。
もし「ツナグ」がMICIOに会わせてくれたなら、「あの二粒の涙はなんだったの?」と聞きたい。
そして「ごめんね」と謝って、「ありがとう」と伝えたいのだけど。
posted by 北杜の星 at 07:42| 山梨 ☔| Comment(0) | TrackBack(1) | タ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「ツナグ」辻村深月
Excerpt: 第32回(2011年) 吉川英治文学新人賞受賞。 突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いか....
Weblog: 粋な提案
Tracked: 2012-02-03 17:47
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