2012年01月20日

綿矢りさ「かわいそうだね?」

起きたら一面真っ白!
この冬初めての本格的な雪です。
雨も雪もちっとも降らなくて、地面や木々がカサカサだったし、私のお肌もカサカサ。
ハッチ君に触れると静電気がびりっときて、二人でびっくりの日が続いていたのです。
20センチの雪にハッチ君興奮気味で、外に出たり内に入ったり。
だけど降ればどか雪となるんですね。
我が家の坂道を生協のお兄さんの車、登ってこれるか心配です。
さて、今日は綿矢りさです。


芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」を含めて、長い間私にとって綿矢りさの小説は退屈で、どこがいいのかわからなかった。
それが少しずつぼんやりとわかるようになったのは、ここのところの2.3作からだ。
寡作の人で、丁寧に丁寧に書いているのが伝わってくる。
小さなことがらの積み重ね、表出しない細やかな感情。
そうか、綿矢りさってこういう作家なのかと、遅まきながら理解できた。

この「かわいそうだね?」は表題の「かわいそうだね?」と「亜美ちゃんは美人」の2作が収められている。
どちらも女性を描いていて、その心理が「わかる、わかる」なのだ。
今まででもっとも好きな綿矢作品となった。

「かわいそうだね?」は、元カノを同居させることになった彼に戸惑う樹里恵(このスゴイ名前の説明は作中にある)。
仕事もない、金もない、住むところもない元カノのアキヨさんを見捨てて置けないと彼は言う。恋愛感情ではないと。
これを受け入れてもらえなければ別れるしかないとまで言う。
当然樹里恵は悩む。
受け入れられ宇者ではないけれど、受け入れなければ、自分がいかにも狭量な人間みたいでいやだし。
割り切れない思いで過ごす樹里恵だが、ある日とうとう爆発する。

この爆発の仕方が、スキッとすることったら。
それまで矯めに矯めた感情がほとばしる。そのほとばしり方が爆笑ものでなんとも愉快。
でも樹里恵とアキさん、最初からこの勝負はついていた。
だって英語で言うでしょう。
Pity is akin to love.
夏目漱石はこれを「かわいそうったぁ、惚れたってことよ」と訳したものだが、世の中「かわいそう」には勝てないやね。

もう一つの「亜美ちゃんは美人」。これがまた良かった。
とても巧みな小説だ。
美人の亜美ちゃんを友人に持つという役割をずっと果たしてきたさかきちゃんの微妙な心理が見事に表現されている。
完成度としたらこちらの作品のほうが高いかもしれない。
登場人物の出入りも実に妙味があって、面白い。

鈍い私もやっと綿矢りさのよさがわかり好きになれて良かった。
お気に入りの作家が増えました。
posted by 北杜の星 at 08:25| 山梨 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ワ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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