2013年05月18日

加藤功甫/田澤儀高・共著「ユーラシア大陸横断自転車2万キロの旅」

これはタイトルそのままの本。
二人の大学院生が一緒に自転車でヨーロッパからアジアを旅をした記録だ。
加藤君と田澤君の共通項は自転車ともうひとつ、教育学部の教育課程だったので大の子ども好きということ。
それでこの旅をCoCプロジェクトと名付けた。つまり「Connection of the children」。
旅で出会う子どもたち一人一人に、20センチの糸を結んでもらおうというのだ。その糸が旅の終わりにはどれくらいの長さになっているのだろうか?

2万キロを走破するのだから自転車の準備が大切だ。
速さが目的ではない。頑丈で修理が簡単なものがいい。なので鉄製のフレームを選択した。
走るにつれ体にフィットするサドルや少々ではパンクしないタイヤも必要。
大きな荷物を積むために、カスタマイズをお願いした。
おかげでシビアな故障はなかったようだ。(パーツはもちろん持参した)。

2万キロのあいだにはさまざまな気候の国々がある。
衣類、それらを入れる完全防水のバッグ、食品関係の器具に水を漉す浄水フィルターも必要となる。
カメラやPCもいまや重要なアイテムだ。PC用にはソーラーパネルの充電器を用意した。

そうそうもう一つ忘れてならないのが、スポンサー探し。
これだけの旅なのだから費用がかかる。それをすべて個人では賄いきれない。ましてや彼らは学生だ。
最初彼らは甘かった。これでは通らないだろう企画書を持って回ったがすべてダメ。
しかし的確なアドバイスをくれる人があって、なんとか数社がスポンサーとなってくれた。

2011年4月、スタートはポルトガルのロカ岬。
これから2万キロ、11ヶ月の旅が始まる。

西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、トルコあたりまでは順風満帆。風景は美しいし人々は親切だ。
けれどコーカサスあたりから人の顔が険しくなってくる。ほとんどの町民がチンピラ風というところもあった。
でもこの二人、いつも何かに守られているというか、彼らの素直さや「気」の良さが伝わるのか、酷い目には合わないのだ。
それどころか困ったときには必ず救いの手が現れる。
もう神様がいるとしか思えないことだって起こるのだ。例えばお腹がすいて食糧が何もない砂漠の真ん中で野営しようとしていたとき、自転車のすぐ脇に一個の玉ねぎが落ちていたり。。
見渡す限り人のいない場所になぜ玉ねぎが?!どう考えてもあり得ない。

30カ国を巡る20195キロの自転車の旅で出会った子どもたちは5003人。糸の長さはおわかりでしょう。重さは1キログラムになった。
彼らのCoCプロジェクトは大成功に終わった。
こんなイイコトばかりのわけがないと言う人がいるかもしれない。
困難や苦労があるのは当たり前。へこむことだってあっただろう。
でも加藤君と田澤君にはものすごい達成感と同時に、「なんてことなかったよ」の気持ちだってあるんじゃないかと私は思っている。
それは「面白かった!」という充実感が大きいからだ。
最近の日本の若者は外に出て行かないと言われる。なんてもったいないことだろう。
自分の考えだけで世の中が成り立っているんじゃなくて、いろんな人が居ていろんな考えがあっていろんな暮らしをしていることを知ることは、それも若いうちに知ることは、その後の人生にとても大きな影響を与えてくれるはずだ。
その旅行もパックツアーではなく個人で、少しばかり貧乏旅というのがいい。
今回のこの旅でみんなが親切だったのは、彼らが自転車だったからという理由が大きいと思う。
大変な想いをしている人に、人はやさしいのだ。
(これは私にも経験があるのだが、バイクで旅行をすると本当にみんなが親切にしてくれたものだし、高級な宿や食事じゃなくても十分満足できた。でも四輪の車だと、出会う人はフツウ、泊まる所も屋根があってお風呂があればそれで言うことなしというわけにはいかなくて、そこそこの居住性を求めてしまう。心から手助けしたいという気持ちと、お金で買えるサービスとは全然違うものなのだ。)

この本、もう一つ素晴らしいのは、ものすごく写真が美しいこと。
写真集として発刊してもよかったくらい、いい写真がたくさんだった。
posted by 北杜の星 at 07:00| 山梨 | Comment(2) | TrackBack(0) | カ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログ読ませていただきました。とても素敵な文章で、私たちの本をご紹介いただき、誠にありがとうございます。現在も糸繋ぎや、旅は続いております。引き続き宜しくお願いいたします。
Posted by 加藤功甫 at 2015年05月11日 18:19
加藤さん

著者の方からのコメント、とてもうれしいです。ありがとうございます。

CoCの活動はまだ続いているのですね。
ということは糸の長さも増え続けているということですね。
素晴らしいです!

もしまた本になるなら、どうぞお知らせください。
是非読みたいです。

お気をつけて、自転車での旅、楽しんでください。
Posted by ハッチ at 2015年05月12日 10:47
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