2016年07月05日

李龍徳「死にたくなったら電話して」

2年前の文藝賞受賞作品。
ある友人から「これ、どう思うかちょっと読んでみて」と言われ読んだのだが、反対に「あなたはどう思ったの?」と問いたい。
文藝賞の選考委員が山田詠美、藤沢周、星野智幸だから受賞したのでは?もしもっと健全な作家(?)が選考委員だったらと、ふと感じだ。(保坂和志も委員の一人ですが)。

暗いです、怖いというより気味悪いです。そういうものが苦手な人は読まないほうがいい。
なにしろ拷問など世界の残虐史がたくさん出てくる。
主人公たちの厭世感がなんとも重い。
「気分」に引っ張られる人は、読後とうぶん抜け出せないかもしれない。

それでも圧倒されるものがここにはあって、人間の暗部を切り取るのが文学だとしたら、これはまごうことなき文学ではないだろうか。
「うー、ウー」と呻吟しながら完読したけどやはり、毒にはあたりましたね。

浪人生の徳山は十三のキャバクで初実と出会う。
初美は徳山に熱心にアプローチ、二人は付き合うようになるが、初美が語る残虐な話とともに彼は初美との異常なセックスにのめり込んでいく。
あまり筋は書かない方が良いと思う。
筋よりも私が知りないのは初美の意図だ。
破滅へと人を誘う吸引力の強さが恐ろしいが、それはなぜなのか?
徳山の物語としてよりも初美の側からの物語を知りたくなる。
どんな生育環境で育ったのか?いつからそうなったのか?いったいどうしたいのか?

こんな小説を書いたら、この作者は今度いったい何を書くのか?
そのことに興味を覚えます。
毒にあてられながらも、次を是非読みたいです。
posted by 北杜の星 at 07:33| 山梨 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ラ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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