2016年08月17日

多田俊哉「そのオリーブオイルは偽物です」

オリーブオイルの消費が日本でずいぶん増えているが、これは日本だけでなくアメリカや韓国それに中国などでも需要が伸びているそうだ。
オリーブオイルにはエキストラ・ヴァージンとそうでないオイルがある。
エキストラ・ヴァージンの方に偽装が多いとは、ここ数年知られるようになった。
なぜなのか?
イタリアの南部プーリア州に旅行した時、見渡す限りずーっとずーっとオリーブ畑だった。
あんなにオリーブの樹があっても足りないのか?と不思議に感じるのだけれど、世界中で消費されれば、そりゃぁ足りなくなるのかも。

値段の高い、「有機」とラベルに書いてあっても、信用ならない。
この本の副題は「値段が高くても本物はごくわずか」とあるのだ。
トルコあたりから安価なひまわり油を輸入して混ぜる手口。
緑色で香がいいのが「本物」とは言えない。色も香も科学的に添加できるのだから。
偽装のための技術はどんどん進んでいて、そんな開発努力をするくらいなら、本物を売る努力をするほうがラクなように思えるが、儲けのためには悪い人間はどんなことでもするのでしょうね。
値段を高くして売るエキストラ・ヴァージンに細工するほうが利益率が高いと言うから、何を信じていいのかわからなくなる。

この本の著者はこよなくオリーブオイルを愛する人だ。
日本人に本物の質の高いオリーブ・オイルを知り、使ってほしいと願って「日本オリーブオイルソムリエ協会」を立ち上げた理事長。
彼がどのように安全安心なオリーブ・オイルを選べばいいかを教えてくれるのがこの本だ。

まず、大きな工場で生産されるメーカー、例えばイタリアの「ベルトーリ」や「カラベッリ」は(どちらもスーパーの棚でよく見かけますよね)名指しで「偽装」と書かれている。
まぁ、こうした安いものには手を出さないとしても、JAS規格と書かれていても信用してはいけないそうだ。
なぜならJASにはオリーブオイルに関する基準がまったくないから。
ますます消費者泣かせですよね。
イタリアでは偽物を取り締まる役人が業者と結託していることもあるというから絶望的だ。

もっとも信頼できるのは「生産者の顔が見える」ものを選ぶこと。
つまりワインと同じで「銘柄」に注意して買うとよいらしい。
ちなみに私があるイタリア食材専門店から買っているのは、その店の店長が自らイタリアに行ってオリーブ畑を視察し、栽培と生産を行う畑主から輸入しているものだ。
値段は500mlで2700円。
安くはないが最高級品の値段ではない。(ラウデミオなどは6000円するし、ラウデミオ以外にも素晴らしいオイルはそれくらいするのがたくさんある)。
(イタリアでも本物のエキストラ・ヴァージンは高いです)。
消費量の多い我が家で選べる最上のものを選んでいるつもりなのだが、これはもう、そのイタリア食材店を信頼するしかない。

イタリアン・レストランでも本物のオイルを知らないシェフやサービスの人が多いそうで、レストランのテーブルに置いてあるオイルのほとんどがヒドイものだと著者は書いている。
オイルについて勉強していないのだ。
この本の終わりには「日本オリーブオイルソムリエ協会」主催の「OLIVE JAPAN」で賞をとったオイルとそれを売っている店が紹介されているので、確かなオイルを求めたい人は参考にしてください。

イタリアに居た頃に、夫が働いていた設計事務所のボスの庭には古いオリーブの樹がまるでジャングルのようにたくさんあった。
秋になると地方から渡り職人がやって来て実を収穫していたそうだ。実はすぐに近所の圧搾所に運ばれてエキストラ・ヴァージン・オイルとなっていた。
濾す場合も濾さない場合もあるけれど、あれぞまさしく「本物」だったのだ。
そのボスの家ではオイルだけでなくワインも自分の庭で採れたぶどうから作っていた。
ああいう暮らしがまだあるのがイタリアだと思いたい。

オイル・ソムリエ協会で賞を獲得しているのは、スペインのものも多いです。
今度試してみたいです。
posted by 北杜の星 at 08:08| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | タ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。