2016年12月21日

マイケル・ブース「限りなく完璧に近い人々」

「なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?」が副頽。
じつは私はこういう本はあまり好きではないのだ。
だって他の国がいかに素晴らしいかを知ったとしても、私のこの国が良くなるわけはないし、知れば知るほどなーんか虚しくなるだけだから。
隣の芝生の青さを羨んでもしかたない。。
それでも時どき読んでしまうのは、虚しさのなかに巣くう腹立たしさをなんとかこの国に反映したいと思うからなのかもしれない。
ごまめの歯ぎしりだけど、たくさんのごまめが集まれば何かを変えることができるかもしれいもの。

マイケル・ブースという名前にひっかかるものがあった。
調べてみると、「英国一家、日本を食べる」のあの著者だった。
彼はイギリス人、でもデンマーク人の女性と結婚し現在はデンマーク暮らしだそうだ。
イギリスは今は経済が大変で以前ほどではないというが、それでもまだまだ福祉的には国民は恵まれているはず、そのイギリス人である彼が北欧デンマークに住んで感じる「幸福指数の高さ」。
この本ではそうした北欧5カ国の人々の暮らしをユーモラスに書いている。
でもこれ、500ページぎっしりの読み応えのある本で、読むのに4日かかりました。
なおこの本はオバマ大統領がホワイトハウスの晩さん会で引用したとのこと。アメリカでも「お手本」になる部分があるのだろう。

アイスランド、デンマーク、ノルウェイ、スウェーデン、フィンランド。
私たちは北欧というと、ひと括りにしまいがちだが、この本を読むとそれぞれに個性的で国民性の違いが大きいのがわかる。
著者がデンマーク在住なのでかなりのスペースをデンマークに割いているのは当然だが、どの国に関しても賞賛ばかりでなくその欠点についても容赦はない。

税金は高い、生産性が悪い(休暇が多いんですね)、高齢化、移民問題ももちろんあるしドラッグ問題だってある。
それでも北欧の人たちの満足度が高いのはなぜか?
なにしろデンマークの国民で人生が大変と考えている人は、1パーセントにすぎないのだ!
税金がどれほど高くとも、教育、医療、福祉など暮らしや将来に不安がないというのは、どれだけ安心なことか。日本の若者の不安度不満度(ほとんど諦めているみたいなのが悲しい)を蚊が得ると、本当にうらやましい。
そのうえ長い休暇があるのだから、過労死などは起こらないだろうし、ほとんどの人たちが持っている郊外の小ぢんまりとした別荘やキャンピングカーでm夏を過ごすことができる。

税金の高さは凄まじい。なにしろ最高税率は50%。
労働者人口の20パーセントは仕事をしていなくて、失業手当や障害者手当を支給されている。
そんな国、どうやって回しているんだ?!と日本人の私は不思議に思ってしまう。つくづく日本の国の税金の使い方の不透明さに唖然となる。
デンマークでは総選挙の投票率が87%だという。
みなが政治に関心をもっているのだ。

税金が高いということは、金持ちと貧乏人の格差が少ないということ。
だからデンマークでパーティをすると、集まる人たちの職業がじつにさまざま。教師や議員などもいるし肉体労働の人もいる。そこでの話題もおそらくさまざまなのだろう。
平等意識が高く、他人への信頼度も高い。

もっとも現在はグローバル社会。経済問題は世界中どこも同じで存在する。移民問題は北欧にも迫っている。
北欧システムがいつまでどこまで今の状態で続けられるかは、誰にもわからない。
それでもすぐ近い将来のこの国の少子化や社会保障制度などには、北欧モデルは参考になるところがたくさんあるはずだ。
この本を読んでいるとそれが決して不可能ではないと思えるのだけど、日本の政治家を思い浮かべると「うーん」と唸ってしまう。
利権ではなく理念を持つ政治家を持つには、それなりの意識の国民がいなければ無理なのだろう。
それはとりもなおさずに、私たち一人一人の問題なのだと思う。
posted by 北杜の星 at 07:54| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | マ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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