2017年04月05日

伊佐知美「移住女子」

移住女子が増えている。
私の住むここ八ヶ岳でも最近は女性の移住者がいて、彼女たちは単独で、あるいはグループで農業をしたり、小さな焼き菓子の店を持ったり、バイトをしながら暮らしている。
みんな都会に住んでいた人たちだ。
この本にはそのような田舎に移住した女性たちを紹介している。
岩手、宮城、新潟、長野、鳥取、高知、福岡・・
場所はそれぞれだが、みんな移住した土地を心から愛し、地元の人たちからの支援を受け、またその恩返しをしながら、「消費するだけの暮らし」から「何かを生みだす暮らし」をしようとしている。

彼女たちを見ているとやはりあの3・11の東日本大震災の影響があるように思える。
東京に住んでいたあの時、スーパーやコンビニから食品が消えたことかショックだた人。
ほんの2週間のボランティアのつもりが、もう6年も住み続けることになった人。
何が起こるかわからない世の中だからこそ、せめて自分らしく生きたいと願う人。

もちろん、移住には不安がある。
これまでの生活を一変させるのだ。仕事は?住むところは?友達は?結婚は?
そんな女性たちにはこの本はなにかの参考になることだろう。
田舎はユートピアではない。だから田舎を単なる逃避先と考えると失敗する。
その土地を愛し(この本に出てくる女性たちに共通しているのが、「ここが好き!」という想いだ)、地元の人とコミュニケーションをとりながら土地に受け入れられている。

田舎は閉鎖的というイメージがあるが、それは一昔前のことだという。
人が出て行く一方で住民が年老いている集落にとって、若い働き手が来てくれるのは、とてもありがたく心強い。
自分がこれまでしてきた事を教え、それをリスペクトしてくれるとしたら、お年寄りにとっては新たな生きがいとなるかもしれない。

ただ農業、それも自然栽培法で米や野菜いを作りたいという人たちは、最初は大変だ。
日本では農作物は農協の指導のもと、種や苗を買う。そうして始めて農協が買い上げてくれるのだ。
しかし農協で売っている苗はすでに自然栽培とはいえないので買えない。ということはせっかく作っても販路がないということ。
自分で販路を開拓するには時間がかかる。
その「最初」をどう乗り越えるかだ。

でも大丈夫だと思う。現在は有機農法や自然栽培に関心を持つ消費者が多いのだから、それが安心で美味しければ必ず買い手はみつかる。
ここ八ヶ岳でそうやって米や野菜を作っている人たちだって、今はリッパな「農家」となっている。
都会への宅配だって需要があるだろう。

移住した地人の支援としては、有楽町の交通会館に「ふるさと回帰支援センター」があるし、各地方自治体のイベントに参加するのもよいだろう。
まず、その土地を木に居ることが大切。山の美しさや海の輝きを愛し、「ここに住みたい」と思うことからはじまるのだ。
そしてここに書いてあるが、とりあえず、100万円を貯めること。
移住の費用や生活が安定するまでの生活資金のためのお金として、まずこれだけというのがみんなの経験知のようだ。

だけどこれも安心していいと思う。
田舎って案外、仕事はあるものなのだ。
ここでも、夏場のレストランやペンションでのバイト、ゴマンとあるギャラリーの店とか、収穫機の果樹園の手伝いとか、宅配ドライバーも女性が増えている。
私の知り合いの女性は、夏場のホテルに犬連れで来る客のための「わんわん写真館」(犬の写真をプロのカメラマンが撮影するというもの)でバイトしている。
田舎に来て驚いたのは、地元の人でも、一人がいくつもの仕事を持っていることだった。ゴルフ場の整備の仕事を週4日し、他でも働き、自分で車おオイル交換ひゃタイヤ交換も請け合うとか。
勤めをしながら週末に農業というのは当たり前。
田舎に来ると仕事に対する固定観念がなくなると思いますよ。
それに、田舎は生活費がかからない。ましてや消費生活から抜け出るために移住うするとしたら、お金に対する意識も変わるに違いない。

あのラッシュの満員電車に乗らないだけでも、人生の浪費が減るんじゃないかな?
すくなくともそう考えられる人が、田舎暮らしに向いているのだと思う。
posted by 北杜の星 at 07:24| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ア行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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