2017年05月23日

山田仁史「いかもの喰い」

「いかもの」とは普通、人が食べないものをわざと、または好んで食べること、または食べる人」を指す。
つまりは悪食のこと。
世間では「ゲテモノ」「ゲテモノ喰い」というものもある。
いかものとゲテモノはどう違うのか。

ゲテモノとは上手に対する下手という意味で、昆虫食などがそうのようだ。
昔のバンカラ学生が「闇鍋」と称して、そうしたゲテモノを入れて驚かせたと聞くが、この本に書かれている「いかもの喰い」はそういう遊びではない。
著者は宗教民俗学者。
人類のタブーともいえる宗教儀礼的、または薬効のための食文化を考察している。

人類三大いかもの喰いとは、「犬喰い」「土喰い」そして「人喰い」だそうだ。
中国人は机以外の四足なら何でも食べると言われるので、犬を食べたのかもしれない。しかし犬喰いは中国だけではなく、ヨーロッパにも日本にもあった。
興味深かったのは、「食べられる犬と飼われる犬」の境界だ。
そこに必ずしも法則性があるわけではない。
「崇敬ゆえに食べられたり、穢れいるといって避けられたり、数が減ったら大事にされたり」・・
また為政者の「おふれ」によっても犬の扱いは時々で異なった。
(私が思うに、名前をつけたら食べられないんじゃないかな)。

妊娠した女性が土を食べたくなるというのは聞いたことがあるが、土喰いはじつは地球上のかなりの地域にあて、南米や東南アジアなどに広がっている。
ジャワには粘土製焼き菓子があるという。土をそのまま食べるのではなく、加工料理してまで食べるとは知らなかった。
嗜好品としての土、薬効としての土などの土喰いは、でも、禁忌とは思えない。

しかし「人喰い」はタブー中のタブーと考えられている。
確かに人喰い文化を持つ種族が東南アジアにいることは有名だが、彼らが日常の蛋白源として人を食べていたわけではない。
人身御供のような宗教儀礼が目的のことが多かったし、食べるのは肝臓、心臓、脳髄など部位が限られていたそうだ。

この本、想像以上に面白かったです。
「宗教民俗学」という分野は知らなかったので、こうしたアプローチから宗教、民族、食文化を俯瞰する本は楽しかった。
個人的には、犬は食べられるかもしれない。でも猫はダメだなぁ。
土は平気のような気がする。
ヒトと蛇は絶対に食べたくない。。と今は思っているけれど、不時着した飛行機の乗客が人肉を食べた事実もあるのだから、「絶対」ということは言わないでおこう。
posted by 北杜の星 at 07:31| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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