2017年06月19日

齋藤勝裕「毒と薬の不思議な関係」

「毒と薬は紙一重」「毒と薬は匙加減」・・など昔の人は毒と薬が表裏一体なことをよく知っていた。
最近では病院で処方される薬を服用し、その副作用に悩む人もいる。そうした人は薬を盲信しているのではないか?
薬には毒という裏の顔があることをちょっと考えてみようというのが、この本。

薬用となる動植物や鉱物は多い。それらは用法を誤ると危険なものだってある。
植物で有名なのはトリカブト。
毒性が強いが、心臓の薬として漢方では古くから使われてきた。
以前通っていた蓼科の家の庭にはトリカブトの紫の花がよく咲いていた。きれいなのだが、切り花で室内に飾るには抵抗感があった。
この本に書かれているのは、薬としてよりも毒としての方が多いのだが、これは「このような毒に気をつけなさい」ということなのだろう。
読みやすく書かれているが、内容は専門的である。
この本が私にとって読みやすい点はもう一つ、大きな活字が使われていること。これはシニアには助かりますね。

毒にはいろいろある。
食べる、触る、吸いこむ、刺される・・
消化器や呼吸器、神経系に作用したりと、毒の及ぶ体の部位も様々だ。

食べものの毒といって私がまず思い浮かべるのは、ふぐの毒だ。
私が子ども時代を過ごして広島では、毎年冬になるとどこかから「ふぐにやられた人がいる」という噂が絶えなかった。
おそらく自分でふぐを捌いた、毒と知りつつ過信して食べてしまったからだろう。
ふぐの毒に中ると、死の直前までずっと意識ははっきりしているのだそう。(それってコワイです)。
魚介の毒では最近アニキサスが問題となっているが、厳密にいえばこれは魚そのものではなくて、魚に寄生する線虫である。
動物にも毒を持つものは多い。カモノハシにはオスだけに毒があり、その毒は犬などの小動物は殺すが、人間には十分でないとか。
もちろん爬虫類には毒ヘビも有名。

他に、カビや菌、ウィルスなど地球上には毒が溢れている。
しかし明らかな毒には気をつけられるが、酒(アルコール)はどうか?
酒は百薬の長と言われ、適量なら体に良いとされてきたが、このところの研究では少量であっても酒は毒という説もあるようだ。じっさいに酒をたくさん飲む人はどこか体を壊す人が多いような気がする、
まぁ、嗜好品と呼ばれる食物は多かれ少なかれ毒なのだと思う方がいいのではないだろうか。

覚醒剤は反社会的な毒物と認定されているが、麻薬には毒と薬の両面があって、癌などの週末ケアに、痛みを除去するために使われるようななった。
これこそ「毒と薬は匙加減」の典型だろう。
自然界の毒は怖いけれどそれ以上に怖いのは「人間のつくった毒」である。
化学兵器、農薬、化学汚染・・これらは解毒が難しいものが多い。水俣病はそのなかでも悲惨な歴史を持ち、その解決に何十年もかかっている。

読めば読むほど、無事に生きて行くのはむつかしいものだなと心配になってくるが、知識を持っていれば回避できることもある。
役立つと同時に、とても興味深い本でした。

posted by 北杜の星 at 07:51| 山梨 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | サ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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