2017年07月20日

河出書房新社「ほかの誰も薦めなくても今のうちに読んでおくべきだと思う本を紹介します」

ずいぶん長いタイトルだがこれは「14歳の世渡り術シリーズ」のなかの一冊。
14歳で世渡り術を学ぶ必要があるかどうかは別として、この年代って子どもと大人の端境期。
悩み多き年頃であっても若さゆえの希望もあって、いろんなことを吸収するエネルギーに満ち溢れている年代だと思う。
自分のことを振り返れば、何をしていたのかは思い出せないが、本はたくさん読んでいた。
お小遣いはなかったけれど、あまり学校の図書館を利用した記憶はない。
友人たちと本の話をし、貸し借りしあっていたのだろう。
外国文学、とくにフランス文学を読み始めた頃だった。
当時は『外国」がまだ遠く、憧れが強く、文学を読むと同時にそうした外国の香りに惹かれていたのかもしれない。
スタンダールとかモーパッサンとかが主流だったが、コレットやシャルドンヌなどの小品も好きだったなぁ。
むしろい今になっても覚えているのはl、そうした小品のなかの文章だったりする。

偉人伝のような伝記を読む子が多かったが、私はそういう本は昔から大嫌いだった。
なんか自分とはかけ離れた感じがして、リアリティを感じなかった。
今でもそれは変わらないようで、小説とは「小さき者の説」だと信じている。

ここに並ぶのは30人が薦める30冊。
14歳の若い人たちに向けて、大作名作でなくとも「これを読んでみて」と紹介する本だ。(名作もあるけど)。
こういうのに必ずと言って登場する金原瑞人「神様のみなしご」、角田光代「幼年期の終わり」、吉田篤弘「フラニーとゾーイー」。
まぁ、不思議はない紹介だろう。
佐藤優「共産党宣言」、柳沢桂子「棘のないサボテン」、山崎ナオコーラ「肉体の悪魔」も、こういう本が彼らの人生の導きとなったのだろうと納得。
ちょっと意外だったのが上野千鶴子「聖書」とか木田元「宮本武蔵」(でも木田元は型破りの哲学者だから、小ムツカシイ哲学本よりこのワクワク感が良かったのかも)。

このなかでもっとも面白かったのが岡ノ谷一夫先生の「火の鳥」だった。
先生と書くのは、一度だけ講義を受けたことがあるからで、その講義は録音しておけばよかったと今でも思うほど素晴らしいものだった!
現在は東京大学教授で、理化学研究所のチームリーダーとして、動物言語学を通じて、脳と言葉と心のつながりを研究されている。(脳と言葉の関係だけでなく、心とのつながりと言うところが先生のスゴイところ)。
14歳の頃の先生はコンプレックスの塊だったそうだ。
それってよくわかる。私もそうだった。周りと比較して背が低い、胸が全然大きくならない、目ばっかり大きく鼻が低い、好きな教科だけしか成績が良くない・・
自意識のかたまり。そしてその自意識は空まわりするだけ。
先生もそうだったみたいだ。(こう言っちゃ失礼だけど、先生も女の子にもてるタイプではなかったと思う)。
そんな先生は従兄弟の家で手塚治の「火の鳥」と出会う。おそらくリアルタイムで「火の鳥」を読み始めたのだろう。
これまで何度か全集を購入sれているそうだ。
(でも「火の鳥」って、未完なんですよね。)
そのなかでも第4巻の「鳳凰編」を推薦されるのは、「輪廻転生を主題にしているようでありながら、じつは人生の一回性を謳ったもの」なのだそうだ。
先生は脳科学者であるが、もともとは文学部出身である。
科学と人文が先生の中ではうまく結びついていて、それが何より先生の魅力だと私は尊敬しているのだ。

これは私が実感することころなのだが、本は読んだほうがいい。
本からしか学べないことがあるし、人間にとって大切じゅな「思弁」は、本から生れるのだと思うからだ。
もっとも、「何かのためになるから読む」のではなく、純粋に本を読むのが楽しいから読むことが大切だけど。。
posted by 北杜の星 at 07:41| 山梨 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | カ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック