2017年07月31日

飛田和緒「郷土汁」

こんなにいろんな食材が全国流通する世のなかになってもまだ、知らない食べものがあるし、その土地に行かなければ味わえない食べものがある。
そうしたものに旅先で出会う歓びは大きいし、そのためにだけに旅する人だっている。
この本には47都道府県の特色あるその地の汁ものが紹介されていて、その数じつに102椀。
味噌汁、吸いもの、すまし汁、すり流し・・
季節を感じる汁が並ぶ。
(ちなみにお吸いものとお澄ましの違いは、懐石料理などに出る汁はお吸いもので、肴としての汁。お澄ましはご飯のときの汁。どちらも透明度が高い汁を言うそうです。)

私はスープを含め、汁ものが大好き。食事の時にはいつも汁が欲しいし、懐石のときにもっとも楽しみなのが椀ものだ。
ところが夫は汁などなくていいという人だった。お味噌汁はむしろ嫌いで、鍋ものは大嫌いだった。
でもここ数年、変化してきた。
ご飯のときに「今日は汁ものは何?」と訊くようになったし、冬には鍋もかなり喜ぶようになってきた。
体の調子が悪いときにはスープを作ってとリクエストがあったりする。
そんな彼のためにも毎日同じ汁ものではなく、目先の変わったのを時にはと思い、これを読んでみた。
美しい写真とレシピつき。
食材調達がそんなに無理ないものが選ばれているようだ。
ご馳走というのではなく、普段の汁というのがありがたい。

汁には出汁が必要。
まずその出汁からはじまる。
昆布、かつお、あごや煮干しなど。(春の終わりに福岡出身の方から、出汁用のあごを頂いて、2ヶ月間ずっとそれを使っていた。ふだんの昆布とかつお以上に濃い出汁がとれて美味しかった)。
でも出汁は魚系からだけではないんですよ。ここには出ていないが、以前マクロビを実践していた頃には、干し椎茸や大豆や干瓢なども使っていた。

それにしても、名前を初めて聞く汁の多いこと。
けの汁(青森)、まめぶ汁(岩手)、どんから汁(山形)、こしね汁(群馬、これは群馬名産のこんにゃく、しいたけ、ねぎの頭文字をとっている)、こくしょ(岐阜)、はち汁(兵庫)、つぼん汁(熊本)、、などはこれまで知らなかった。
有名だが未経験なのはなんといっても、いちご煮(青森)だ。うにが入っているなんて贅沢だなと、いつか食べてみたいと思いながらまだ食べたことがない。

汁は入れる具によって季節感があるのがいい。旬の筍とわかめの若竹汁などはその典型だ。鮭の粕汁は冬ですよね。、夏には冷や汁をご飯にかけるのも食がするむ。
汁をご飯にかけるのは行儀が悪そうだが、ぼっかけ汁なんて本当に美味しい。
そういう時はお漬け物があれば十分。一気に食べてふぅっと息をつく。

具がほとんど同じでも、牛肉か豚肉かで、味噌味にするか醤油味にするかがあるのが、芋煮汁だ。
私の好みは牛肉の醤油仕立ての方だが、どちらも寒くなりかけの季節に大鍋いっぱい作ってみんなで楽しむものなのだろう。
旅行好きだった義父は生前よく「冬の北陸のたら汁は本当に旨かった、あれがもう一回食べたい」と言っていたが、あれも私は未経験なのが口惜しい。

どれも作ってみたいが、あんこが甘そうな汁だけは苦手だな。地方によってはそんなお雑煮もあるようだが、あれは生れた時から慣れていないと無理じゃないかしら。
味噌を使う汁も、赤味噌、白味噌と地方色が出る。
私はどちらも大丈夫な人間で、しじみ汁は赤、里芋や牛蒡には白が好き。
私の超簡単お澄ましは、とろろ汁だ。これはこの本にも載っている。
お椀に塩昆布(すっぽんエキスで炊いた「松の葉昆布」があれば最高)とおぼろを入れて、お湯を張る。それだけ。
塩昆布がなければ梅干しを入れて、出汁醤油をまわしかける。あとは三つ葉を散らせば美しくなる。
何も汁ものがないときとか、東京のデパ地下でお弁当を買って帰ったときなどは、汁はこれに決めている。

夫が「今日は味噌汁はないの?」と訊ねるようになるまで、頑張ります!
posted by 北杜の星 at 07:27| 山梨 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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