2017年08月21日

原田ひ香「ラジオ・ガガ」

深夜ラジオを心の友として青春時代を送った人って多いんじゃないだろうか?
オールナイト・ニッポンのファンは私の年代に結構いた。
でもあの番組、今も健在なんですね。知らなかった。
私は深夜ラジオのリスナーではなかった。ベッドに早く入って本を読みたい私だったので、ラジオは視野には入っていなかったからだ。
それに誰かのお喋りをずっと聴くのもあまり好きではなかった。
だからレモンちゃん(落合恵子)も知らなければ、タケシも、ましてやオードリーもナインティナインも知らないできた。
(ラジオをまったく聴かないわけではなく、起きたらすぐにNHK・FMをつける。「クラシック・カフェ」を放送していて、その朝がバッハだったら一日がご機嫌で始まる)。

この「ラジオ・ガガ」には「人生で大切なことはみんな深夜ラジオが教えてくれた」というリスナーたちが主人公の短編集。
流産後、会社から帰る夫を待ちながら聴いたタケシ。以来ずっと深夜ラジオを聴き続け、今は伊集院光を聴いているケアハウス入居の老女。
娘を寝かしつけ深夜のラジオ・ドラマの脚本執筆をする主婦。
売り出し中のお笑い芸人と同級生だった夫に、テレビ局からの出演オファーが来た夫。
などなど、5篇が収録されている。

これを読むと伊集院光もナインティナインもどちらもなかなかの人物みたいだ。
彼らが深夜ラジオで話していることに共感し、時に慰められ、時に人生の方向の舵とりをしてもらう人たちっているのだろうな。
そういう「支え」となっているのを、パーソナリティの彼らは知っているのだろうか?
知っていたとしたら、どんな気分なのだろうか?
と、変なところに思いを馳せてしまった私。
なにげなく話す言葉が聴く人にとって重大なナニカになってしまうのは、ちょっとひるむところがあるけれど、とにかくその番組は一方通行ではなく、彼らが話すことがある意味、ストレートに受け止められるのは、彼らが高みからモノ申してるのではないのを、リスナーがよくわかっているからだろう。
失敗や失意のときの自分たちを正直にさらけ出していることへの好感もあるかもしれない。

それにしても原田ひ香って、いつも深夜ラジオを聴いているか?そうとしか思えない深夜ラジオの知識だ。
それとも本を書くために聴きこんだのか?
深夜ラジオが大好きな人にとってはこれ、とても面白いものだと思う。

原田ひ香は「東京ロンダリング」以降、目の付けどころの良いテーマで小説を書いている、
でも私はデビュー作の「はじまらないティータイム」が今でも一番好きだ。
説明をしすぎない物語には、小説としての完成度は低いが不思議な魅力があった。
ああいう方向に行く作家さんかと期待したのだが、完全にエンターテイメント系に行っちゃったんですね。
ちょっと残念だけど、これは私の感想であって、原田ひ香のファンは年々増えていると思う。それはそれで悪いことではないです。
この「ラジオ・ガガ」も楽しめる作品ではありました。
posted by 北杜の星 at 07:21| 山梨 ☁| Comment(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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