2017年09月25日

青木俊「潔白」

すでに執行済みの死刑囚が、もし無罪だったとしたら?
事件後30年の後、遺族から異例の再審請求が出された。
一貫して無罪を主張していたその死刑囚は、刑確定後2年で、死刑に処されていた。
再審請求に、札幌地検に激震がおきた。

再審請求はよほどのことがない限り、却下される。
ということは請求が通れば、無罪となる確率が高いのだ。
裁判を覆すほどの確実な新証拠や新証言という「爆弾」があるためだ。
そうなれば地検のメンツは大潰れ。
「なんとしても『爆弾』を握りつぶせ」との指令を受け、いわくつきの検事が一から調査を始める・・

という検察組織ミステリーがこれ。
警察や検察の体質は想像以上のもので、裁判のずさんさを含めて、日本の司法に絶望してしまう。
再審請求中の死刑執行は今年も行われている。
こんなことがあっていいのか!
これはもっと世の中が問題にすべきこどなのではないかと、アムネスティの運動に参加していた私は思うのだが、そう思うのは一部の弁護士、市民団体、そしてなによりその家族だろう。
この小の再審請求者は死刑囚の残された娘。
彼女は父の無罪を信じ続け、自分で弁護士を探し、真犯人をつきとうめようとする。
また捜査のいい加減さを追及。
昔のDNA鑑定は確実なものではなく、ましてや検査技師も一人に任せていたという。
ましてやその検査技師が検察におもねるような結果を出すことに腐心していたとしらら。。

まず、「犯人ありき」。見込み捜査の恐ろしさがここにある。
状況証拠だけで、犯人と目される理不尽さ。
自白を求めるための拷問のような取り調べに、虚偽の証言をする人間もいるだろう。
密室での取り調べを可視化させようとはしているが、完全実現しているわけではないのが現実のようだ。

これ、ミステリーなので詳しいストーリーは書けないが、ラストにはちょっと驚く。
でもそう言えば、、という伏線はあったよな。。
人間のすることだから間違いは起きる。冤罪だって起きる。
だからこそ、取り返しのつかない死刑制度を撤廃すべきであるし、死刑という厳罰があっても極悪犯罪はそれでなくなるわけではないということ、たとえ犯人が死刑執行されたとしても、奪われた命は取り戻せないことを、考えてみてほしい。
それならば、無期懲役として死ぬまで罪を償わさせるほうがいいと私社思うのだけど。
でもこの死刑制度云々は難しく、アムネスティですら、死刑制度支持の会員はいた。
(もともとアムネスティは死刑制度反対の団体ではなく、政治犯解放を求める団体である)。

一気読みしながらも、いろいろ考え、考えると怖ーくなる本でした。
posted by 北杜の星 at 08:19| 山梨 ☀| Comment(0) | ア行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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