2017年10月30日

東山彰良ほか「走る?」

「走る」をテーマにした14人の作家のアンソロジー。
14人のなかには初読みの作家さんも多く、楽しく読めた。
人生において「走る」場面は数々ある。そうした人たちの背中をそっと押してくれる短編が並んでいる。

東山彰良や古川日出男や佐藤友哉などはいかにも走りそうだ。走ると止まらない感じ。
反対に柴崎友香の主人公はおっとりして慌てふためかず、走るべき時にも走らない印象がある。

町田康はどうだろう?
走るようでもあるが、走らないようでもある。みんなと反対に、急いでいる時にはわざとゆっくり、ゆっくりしている時にはバタバタと尻を絡げて走りだしそう。
その町田康の「ずぶ濡れの邦彦」。
走らないことを条件に結婚した邦彦と妻のお話し。

「走る」をテーマに走らないを書くなんて、町田康らしいこと、と思いながら読み始めたのだけど、途中から「もしかして、こうなるんじゃないでしょうね。こうなるのは、あまりにあまり。でも町田康だもの、違うよね。。」と心落ち着かなかったけど、心配したとおりの結末に。
あまりに平凡、陳腐。
町田康の看板が泣くでしょと、情けなくなった。
こんな町田康、初めて。ホント、つまんなかったなぁ。
これがもし他の作家であったとしても、許容範囲外です。

いっぽう、初めて読んだ中田永一の「パン、、買ってこい」は面白かった。
強者のクラスメート入間君から、弱者の「僕」は昼休みになると「おい、パン、買ってこい」とパワハラされる。
パンは学校の購買で売っている。
入間君は「買ってこい」というものの、パンの指定はない。買ってくると500円玉を投げてよこす。
毎日毎日それが続くうちに「僕」は入間君のパンの嗜好にどうしたら沿えるかを考え始める。
「どんなパンが好きか」と訊ねると、入間君はパンの種類の指定ではなく「出来たてのパン」と答える。
そして「僕」は彼のために学校を抜け出て、駅前まで「走り」、できたてのパンを買って来る。
・・入間君にすると、気味悪いヤツに違いないよなぁ。
でもこの小説の登場人物は入間君を含めて、なにやらかわいくておかしい。
れっきとしたイジメなのに、悪人がいない。
これ気に入って、私の頭に中田永一といいう作家の名前が強くインプットされました。他のも読んでみよう。

こうしたアンソロジーは新しい作家との出会いがあるのでうれしい。
posted by 北杜の星 at 08:39| 山梨 ☔| Comment(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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