2017年11月27日

青山七恵「踊る星座」

「お仕事小説」といえば何と言っても津村記久子。
仕事をしながら生きる現代女性にとって「わかる、わかる」の主人公が登場する彼女の小説が私は好きで、普通のOL.専門職であってもすご腕のキャリア・ウーなどではない働く女性の悲喜こもごもを読んでいると、溜息をつきつつも思わず笑ってしまう。
そんな「お仕事小説」をあの青山七恵が書いたんです。
しかも帯には「笑劇的な最新小説集」とある。くすりとしたユーモアどころではないようだ。

読んだ感想は「えーっ、青山さんってこんなのも書ける人だったんだ」ということ。
芥川賞受賞の「ひとり日和」のような細やかな描写による日常ではなく、破天荒というか奇想天外なできごとが連続するので、かなりびっくりした。
彼女もいつまっでも「ひとり日和」路線を続けるわけにはいかないと考えたのか、「快楽」というそれまでとはまったく違う傾向の本を出したが、残念ながらあれは彼女の年齢からして時期尚早の空まわりだった気がする。
作風を変えるというのは作家にとっては勇気がいることだし、でもそれをしなければマンネリで飽きられてしまうし、むつかしいものだ。
(その点、私小説家はいい。西村賢太など同じことに安心するところがある。)

主人公の「わたし」はダンス用品の会社に勤める営業ウーマン。
仕事柄顧客はダンス教室など、踊りに関わる人たちだ。
でも出会う人たち、起きる事柄が、まったく虚構。こんなこと絶対に言わないでしょ、起きないでしょということばかり。
これじゃぁ、疲れる。おまけに家族がまたやっかいなのだ。
「わたし」の苛立ち、やるせなさ・・

だけどなんだろう、これ?
ちっともイヤじゃないのだ。
ここにはやはり仕事をするよろこびがあるし、困った人へのちょっとした理解もある。
日常そのものなのに、読んでえいるうちにどこか遠い遠いところに運ばれていくような気もちになるのが不思議だ。

読んでいるうちに次第にこの連作短編集は良くなって、会社の社長の誕生日パーティで、社長ではなくその奥さんの話を延々帰化される羽目になり、逃げ場のない「わたし」のやり切れなさに同情し打つも、外にでたあ時にどこからともなく香ってくるジャズミンに宇宙的な想いを馳せる「ジャズミン」という章が好きだった。
細やかな日常と虚構を入り混ぜながら、うまく処理してあり、この青山七恵、楽しみました。
posted by 北杜の星 at 07:51| 山梨 ☁| Comment(0) | ア行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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