2007年10月05日

結城信孝編「おいしい話」

料理小説アンソロジー。
著者は、小川洋子、阿刀田高、清水義範、田中小実昌、井上荒野、小林信彦、森瑤子、辺見庸、金井美恵子、田中啓文、吉行淳之介、田辺聖子の面々。
出てくる料理は、フランス風魚介のシチュー、ババロア、寿司、ぶり大根、アンコウ鍋、スタッフド・ビーフ、中華粥、コンソメ、カキ氷、ニグ、いのしし鍋、たこやき・・
ニグだけが架空の食べ物。

清水義範、田中啓文は初読みの作家さんだったが、みんな達者なこと。
出てくる料理もうまそうだが、小説もうまい。
アンソロジーとしては、かなり質の高い本と見た。
「ぶり大根」は、まるでレシピ本みたいだが、こっちまで一緒に創っている気分になった。一緒に食べられないのが残念だが。
それぞれの作品に、作家の個性が凝縮されている。
田中小実昌のちょっとエロティックなとぼけて途方に暮れた感じや、阿刀田のブラックユーモア的落としどころの怖さ、辺見氏には一筋縄ではいかない毒があるし、吉行には吉行ならではの生理のありようがある。
金井美恵子の、突き放したような知的なおかしさも好きだ。
多才なほんものの物書きが、ちゃんと書けば、ごく短いものでもこんなもんだ、どんなもんだい、という印象で、参りました。

文庫本だが、美味しいエキスがぎゅっとつまった、サッと読み捨てるにはもったいない本。
posted by 北杜の星 at 08:38| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ヤ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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