2008年02月06日

藤原伊織「遊戯」

佳境に入りこれから・・というところで、この連作短編は途切れている。
作者の藤原伊織が、癌で亡くなったためだ。

「遊戯」「帰路」「侵入」「陽光」「回流」がどんな結末となったのか。もはや知る術はない。
主人公の本間透と朝川みのりのキャラクターがユニークなだけに残念だ。
人材派遣会社に勤める本間と、身長180センチの朝川みのりは、PC上のビリヤードゲームで知り合う。
本間は外交官だった父親から肉体的な幼児虐待を受けて育った。
朝川みのりは身長を生かしモデルとなり、売れ始める。
ストーリーは、不気味な自転車に乗る中年男をからめて動き始めるのだが・・
「パリテキサス」や「ニキータ」や「フルメタルジャケット」などが出てきて、作者が映画好きだったのがうかがえる。

もう一つ収められているのが「オルゴール」。
これは藤原伊織らしく甘美で切ない物語。
過去に喪ったものをどんなに切望しても、もう手には入らない・・

団塊の世代が退職する年齢になり、第二の人生に踏み出そうとしている。
藤原伊織だって、もっと書きたいこと、したいことはあっただろうに、どれだけ無念だったことか。
彼のことを大好きというファンはたくさんいて、彼を偲んでいるに違いない。
ニヒルになろうとしてもなりきれない心優しいロマンチスト、そういう印象の人だった。
posted by 北杜の星 at 08:43| 山梨 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | ハ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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